2013_Sicilia

 
   
 
 
 

Catania

 
 
最近は忙しくてゆっくりヴァカンスに行くという気分になかなかなれない。せめて年末年始くらいは と、3泊でイタリアのシチリア島へ。パリからシチリア第2の都市カターニャへ飛ぶ。カプリ島や小さな島々が美しいティレニア海に浮かぶ。着陸が近ずく頃大 きな虹が出る。美しい虹のアーチをくぐって空港へ。雨後の夕焼けが美しい。

 

Catania

 
 
パレルモに次ぐシチリア第2の都市であるカターニャ。イタリアのバロック都市らしく荘厳で大きな建築物に囲まれたドゥーモ広場。パリに比べて本当に暖かく夜のそぞろ歩きも楽しい。

 

Catania

 
 
 
壮大な夜景を見ながらまずはプロセッコで乾杯。早速シチリアの名物アランチーニがおつまみにでて来 る。小さなライスコロッケという感じ。サフランの香りがプロセッコにぴったりでシチリア島に来た実感。小さな野生のイチゴをまぶした小さなタルトも名物の ようで明日の朝に頂いてみよう。

 

Catania

 
 
 
イタリアはどこに行ってもシーフードが美味しいけれどさすがにイタリア一の漁獲量を誇るシチリア、 素晴らしいお魚達がピカピカ光っている!お任せのアンティパスト・ミストとフレッシュ・シーフードの盛り合わせ。一つ一つに手の込んだアンティパストと、 本当に新鮮なお刺身のようなお皿。イカ墨のラヴィオリも絶品。全てのお皿にオレンジが配してあるのもシチリアらしい。

 

Catania

 
 
寒いパリから来たせいか暖かいシチリアの街のお散歩も楽しい。シチリアのワインを頂ける素敵なバー ルを見つける。ワイン用のぶどうの栽培とワインの生産量はイタリアの中でも郡を抜いているこのシチリア、微発砲の白と赤のワインをオーダー。フルーティー な香りが素晴らしい。ラディッキョとチーズのトーストも珍しくてとても美味しい。

 

Catania

   
 
 
昨日の雨ですっかり清められたような快晴の朝。美しいドォーモ広場で昨日見つけた小さなタルトを頂いて見る。野生のイチゴらしく甘酸っぱくて粒粒。甘いクリームとの組み合わせがとても美味しい。

 

Catania

 
 
カターニャはヨーロッパ最大の活火山エトナ山を擁しこの山の噴火と共に生活してきた街。シチリアン・バロックと言われる壮大な建物と劇場のような街の構成がダイナミックに交じりあい、何とも言えない魅力をかもし出している。

 

Catania

 
 
ローマ時代の浴場の跡に建てられたこの大聖堂。1078年から1093年にかけ てロジェール伯爵によって建設された。創建当時のデザインをそのまま残した高さと2重の円柱を重ねた、正に「威風堂々」という感じのファサード、それを囲 む聖人像はまるで舞台装置のよう。1669年のエトナ山の噴火を描いたフレスコ画も美しい。

 

Catania

 
 
 
ホテルのお部屋からはイタリアらしく狭い道路を挟んで向こうの建物が見える。ヴェネチアでいつも泊めて頂いていたD教授のお宅を思い出す。溢れんばかりの太陽が本当に嬉しい。

 

Catania

 
 
 
 
冬でも太陽がさんさんと降り注ぐシチリア、柑橘類の生産も盛ん。レモンやオレンジ、この巨大なレモ ンのような果物はCEDROチェドロと言い果肉ではなく皮の部分を食するとか。イタリアン・カルチョーフィもまるでブーケのよう。パプリカやナスも本当に 色が濃い。どの国を訪れても市場を訪ねるのは本当に楽しい。

 

Catania

 
 
カターニャから車を走らせアグリジェントへ向かう。さんさんと降り注ぐ太陽の下のドライヴは1月と は思えない。ドライブインの花壇にも溢れんばかりのハーブ。おやつにアランチーニを頂く。南イタリアの代表的なスナックらしくサフラン風味のリゾットに ミートソースというクラシックなタイプと、クリーミーなリゾットにチーズと言う組み合わせ、どちらもとても美味しい。ドライブにはぴったりのおやつ。

 

 

 
 
先日行ったフランス北部の景色はどこまで行っても暗く沼地と鉱山跡、とあんまりだったけれど対照的 なここシチリアの景色。オリーブやレモンの木に走っていても見えるほどたわわに実がなっている。ソーラーパネルの設置も正に!という感じ。あまりに暖かく 車は冷房に切り替える・・・。

 

Enna

 
 
 
途中、ロンバルディア風の城がそびえるエンナの街に寄る。19世紀初期までカストロ・ジョバンニと呼ばれていたこの街は標高948mのイタリアでもっとも高い県庁所在地として知られているとか。雄大なシチリアが見渡せる・・・。

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
 
モザイクの街と呼ばれるピアッツァ・アルメリーナの旧市街から5キロほど離れたところに帝政時代の 大富豪貴族の別荘、ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレを訪ねる。田園と言うより熱帯植物に囲まれた3世紀の豪華な別荘は、ゴージャスなモザイクの床が一 面に広がりローマ時代のモザイクの傑作として貴重な史跡となっている。1997年にはUNESCOの世界遺産に登録されている。

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
 
プールのような噴水を囲むこの壮大な別荘には約40室の部屋があり、入り口付近はTERME 浴室になっており冷浴室、微温浴室、高温浴室と温度調節の出来るそれぞれの浴室があり、さながらエステサロンのよう。美容に敏感だった貴族の生活が偲ばれる。

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
 
プールのような噴水を囲むこの壮大な別荘には約40室の部屋があり、入り口付近はTERME 浴室になっており冷浴室、微温浴室、高温浴室と温度調節の出来るそれぞれの浴室があり、さながらエステサロンのよう。美容に敏感だった貴族の生活が偲ばれる。

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
モザイクのモチーフは当時の貴族の生活を映した実に具体的な絵巻物のよう。迫力のある狩りの様子や「10貴婦人の間」にはビキニの女性のモチーフまである。海の怪物ナイアスとイルカに命を奪われるアリオンや、オデュッセウスとポリュペモスのモザイクも保存されている。

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
 
1950年から60年に大規模な発掘が行われ忘れ去れていたこのヴィラが発見された。1997年に ユネスコの世界遺産に登録されてから現在のような、ある程度安全な見学が出来るように補強などがされたと言う。3世紀から4世紀に建てられたこのヴィラが 実際に使われていたのは150年くらいの間だけで、その間、東ゴート王国、ヴァンダル王国、ビザンツ王国、アラブ人、と支配者は変わる中でも維持されてき た。あまりに太古の昔で思いを馳せるのも少し気が遠くなりそう・・・。

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
 

 

Villa

Romana

del

Casale

 
 
あまりにも朽ちて発見されたため、ユネスコの世界遺産登録後、観光客が安全に見学できるようにするためには相当の補強が必要だったそう。各部分は美しくとも全体となるとなかなかそうも言い難い。安全のためには仕方のないことだけれど。

 

Villa

Romana

del

Casale

   
 
 
ヴィッラ・ロマーナ・デル・カザーレを出ると眩しい太陽の下ほのぼのとしたお土産やさんが続く。絞 りたてのオリーブオイルや、アーモンドのお菓子など素朴なお土産が可愛らしい。お菓子やパンを「食べて行きなさいナ」とばかりにいろいろ試食させて頂く。 美味しいなぁ・・・と本当にのんびりした気分になる。

 

Agrigento

 
 
アーモンドやオリーブ、レモンやオレンジがたわわに実る風景を見ながら穏やかなドライブ。海からせり上がった斜面に古代ギリシャの神殿郡が壮大に広がる街アグリジェントが見えてくる・・・。

 

Agrigento

 
 
美しく暮れていく空に、コンコルディア神殿が遠くに見える。本当に幻想的な光景・・・。

 

Agrigento

 
 
お部屋のどの窓からもコンコルディア神殿が見える。陽が暮れてしまうのが惜しいくらいに美しい・・・。「コンコルディア」とは「和解ー平和ー調和」を象徴するローマの女神の事だそう。付近から発見された石碑断片に由来するそうで神殿とは直接関係ないらしい。

 

Agrigento

 
 
遺跡だらけのこの街。レストランのエントランスもライトアップされた遺跡の上を歩く。シーフードが メインのシシリアで珍しく凝ったメニュウを頂く。「鯛のミルフィーユ」はやはりシチリアの特産、アーモンドとピスタチオのペーストでミルフィーユに。こっ くりした味わいが淡白な鯛と絶妙のコンビネーション。カルチョーフィ(アンティチョーク)に詰め物をしてチーズをグラティネしたオードブルも珍しい。

 

Agrigento

 
 
 
旅先ではいつもより更に早起きの私達。一晩中続くコンコルディア神殿のライトアップが終わり、ほんの束の間真っ暗に。夜明けと共にそのシルエットが浮かび上がる。あまりにも美しく、そして幻想的・・・。

 

Agrigento

   
 
 
「神殿の谷」と呼ばれる考古学地区。コンコルディア神殿への路は汗ばむほどの陽射し。登り切ると大 きく視界が開けて真っ青な海をバックに悠然と佇む神殿が現れる。ギリシア神殿建築の最高傑作と言われる上、6世紀末の初期キリスト教時代に、聖ペトロ・パ ウロ教会として転用されたため高い保存状態を保つ事が出来たそう。

 

Agrigento

 
 
 
紀元前450〜440年頃、ディオスクロイ神に奉献されたものと推測され、前面6柱、側面13柱ほぼ完全な姿が見られる。円柱には元は鮮やかな色の漆喰が塗られていたという。時代に風化する事のない力強い様式美に圧倒される。

 

Agrigento

 
 
数年前に訪れたチュニジアのカルタゴや、チュブルボマジュスを彷彿とさせる遺跡郡の一部。地中海をバックに壮大な風景が広がる。

 

Agrigento

 
 
 
ところどころに花のついたアーモンドの木や、実のなったオリーブの木々を抜けて太陽の真下を歩いて 行くとジュノーネ・ラチニア神殿(ヘラ神殿)が見えてくる。標高120mの丘の頂点に立つ紀元前460年〜440年の神殿跡。紀元前406年にカルタゴの 侵攻にあって炎上、その後中世の地震で全壊してしまい、今は25本の柱とその横材のみが残っている。地中海にさんさんと降り注ぐ太陽、キラキラと光る水面 と壮大な遺跡群、その美しさと雄大さに古代ギリシア人の生活に思いを馳せる。

 

Agrigento

 
 
ジョーベ・オリンピコ(ジュピター)神殿の遺跡。紀元前480年から470年以降に建造され未完の うちに前406年、カルタゴによって破壊されその後の地震で瓦礫の山となったが、基礎のみが残るとは言えギリシア建築最大級の遺跡。柱の高さは17mにも およんだそうで、横たわっている人像柱も8mもある巨大さ。1997年にユネスコの世界遺産に指定されたパネルを見ると、その全体像が良くわかる。

 

Agrigento

 
 
 
アーモンドやオリーブ、レモンにオレンジ、サボテンと、どの植物も 豊かに葉を茂らせ、大ぶりの実をたわわに実らせているのが印象的。アーモンドは既に花をつけているものもあって、ゴッホが浮世絵から影響を受けて描いたと いうアーモンドの木の絵を思い出す。枝ぶりも本当に桜にそっくり。それにして暖かい・・・。

 

Agrigento

 
 
雲ひとつない快晴の空と、碧濃い地中海をバックに力強い8本の円柱がそびえ立つ、エルコレ(ヘラク レス)神殿。アグリジェントのドーリス式神殿の中ではもっとも古い紀元前520年の建造物。ファサードに6本、側面に15本の円柱が並んでいたが、やはり 地震で倒壊。ヘラクレスの名にふさわしく天に向かって伸びる円柱はどこまでも力強い。

 

Agrigento

 
 
 
 
灼熱の太陽を久しぶりに浴びて、汗ばむほどの気候の中、壮大な遺跡群を見続け少々疲れる。州立考古 学博物館の静かな日陰がひんやりとしていて気持ち良い。アクラガス時代やそれ以前の黎明期からの出土品を所蔵し、その規模はシチリア有数との事。古代の繁 栄に思いを馳せるには充分すぎるほど。このアグリジェントの青年像は紀元前470年の大理石像でしっとりとした美しい質感。建物自体も遺跡の一部かと思う ようなつくりと、出土品のインスタレーションも面白い。

 

Agrigento

 
 
神殿の谷と言われるこの辺りはレストランも何もない。今晩もホテルで頂くしかないのだけれど、その メニュウの独創的なことに感激する。イタリアでシーフードというと「シンプルで新鮮」、がまず何よりも嬉しい。でもココのシェフの一皿一皿は「小ぶりで 凝っている」。トリュッフとジャガイモのタルト。馬肉とルコラ、フノイユのカルパッチオ。ウニとオマールのブイヨンで炊き上げたピラフ。どれも可愛らしい プチフールのような繊細さ。正にお菓子のようなプラに感激する。

 

Agrigento

 
 
美しいコンコルディア神殿を眺められるのも今晩が最後。快晴の一日とあって夕暮れもまだ明るい。ライトアップもスタートしていつにも増して幻想的、何だか妖精でも出てきそう・・・。真夜中、そして早朝と飽きる事のない美しい光景・・・。

 

Siracusa

 
 
 
いたるところに古代遺跡が息ずく街、シラクーサに立ち寄る。路を進むごとに古代ギリシア、ローマ、 ビザンチン、アラブ、ノルマン、アラゴンと、3000年以上におよぶ歴史をそのまま辿ることになるこの街。アグリジェントの神殿の谷と同じ様に、ギリシ ア・ローマ時代の発掘地域がネアポリス考古学公園となっている。シチリアでi一番大きなギリシャ劇場は紀元前3世紀ヒエロン2世時代のものとか。1万5千 人が収容できるこの劇場、現在でも2年ごとに古代劇の上演が行われていることにも驚く。2005年にはユネスコの世界遺産に登録される。

 

Siracusa

 
 
ネアロポリス考古学公園の南側は、3〜4世紀帝政時代の円形闘技場。剣闘士たちが登場する花道のような施設も残っていて、当時の様子を想像して見る。手すりとなっていた石には観覧席の所有者名を刻んだ石碑があり、社交の場であったことを思わせる。

 

 

Catania

 
 
 
短かったヴァカンスも終わり。一路カターニャに向かう。カターニャ発パリ行きのアリタリア機は古いのロゴの機材。その昔のパンナムを思わせる懐かしい感じのロゴ。パリにつく頃はすっかり夕暮れで真っ赤な夕焼けに向かって着陸する。

 

Paris

 
 
diary index 暖かかったシチリアの太陽の匂いのするお土産たち。オレンジも市場で買ったら袋いっぱい、葉っぱも いっぱい・・・そして種もいっぱい!オレンジとレモンピールは一切れが巨大で、オレンジピールと言うより「砂糖煮」という雰囲気。アーモンドのお菓子も素 朴で可愛らしい。太陽をたくさん浴びて、碧濃い、美しい地中海の風にあたり、壮大なスケールの古代の遺跡をゆったりと歩いて・・・。3泊だけだったけれど 忙しい私達には充分なヴァカンス。元気をチャージしてパリの生活が始まる。 page top

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